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東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)128号 判決

一 原告が請求の原因として主張する事実は、すべて争いがない。

以上の事実によれば、被告は、昭和四三年審判第七七一〇号事件について、「当審において昭和四八年二月一四日付で本願はその明細書と図面の記載が不備で実用新案法第五条第三項および第四項に規定する要件を満たしていないから実用新案登録を受けることができない旨の拒絶理由を通知したが、依然として拒絶理由で指摘した不備の点を解消していない」ことを理由として、昭和四八年六月一二日「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決をしたが、拒絶理由通知書は原告に送達されなかつたのであるから、審決は、実用新案法第一三条において準用する特許法第五〇条および実用新案法第四一条において準用する特許法第一五九条第二項に違反し、違法であるといわなければならない。

二 よつて、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は正当であるから、これを認容する。

〔編註〕 本件における請求原因は左のとおりである。

一 原告は、昭和四〇年一二月二八日特許庁に対し「裁縫用筋付器」につき実用新案登録出願(以下「本願」という。)をしたところ(昭和四〇年実用新案登録願第一〇六五七〇号)昭和四三年八月二三日拒絶査定を受けたので、同年一〇月三〇日審判の請求をした(昭和四三年審判第七七一〇号)。これに対し特許庁は昭和四八年六月一二日「本件審判請求は成り立たない。」旨の審決をし、審決書謄本は同年九月一二日原告に送達された。

二 前記審決の理由の要旨は、次のとおりである。

当審において昭和四八年二月一四日付で、本願は、その明細書と図面の記載が不備で実用新案法第五条第三項および第四項に規定する要件を満たしていないから実用新案登録を受けることができない旨の拒絶理由を通知したが、依然として上記拒絶理由で指摘した不備の点を解消していない。したがつて、本願は上記拒絶理由によつて拒絶すべきである。

三 しかしながら、昭和四八年二月一四日付拒絶理由通知書は原告に送達されなかつたから、審決は違法であつて取消さるべきものである。

原告は本件審決書謄本送達後昭和四八年九月一七日特許庁出願第二課に出頭し、拒絶理由通知書が原告に送達されたかどうかについて、特許庁備付の記録に基づいて調査をして貰つたが、送達済の記録および原告からの送達書類受領書が発見されなかつた。

そこで、出願第二課において、審判部書記課と打合せの上、審決書謄本の取戻手続をしてあらためて拒絶理由通知書を発送する手続を進めるとの回答を得たが、翌九月一八日審判部書記課より電話をもつて、出願第二課が九月一七日にした回答のように審決書謄本取戻手続きはできない旨の連絡を受けたので、九月一九日原告は特許庁に出頭して本件審判長に面会し、審決書謄本を取戻し、拒絶理由通知書の送達手続をして審判手続の継続審理を懇請したが、審判長は、審決の取消は判決をまたざるを得ないと述べて、原告の申出を拒否した。

特許庁は、実用新案登録出願の拒絶査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。それにもかかわらず、原告に対して拒絶理由の通知がなされなかつたために、意見書を提出する機会が与えられなかつたことは明かであるから、審決は、実用新案法第一三条において準用する特許法第五〇条および実用新案法第四一条において準用する特許法第一五九条の規定に基づかない違法な審決であることを免がれない。

被告は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁として、請求の原因事実はすべて認めると述べた。

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